ブレッド&バターはかなり息の長いフォークデュオで、つい最近まで活動していた。
湘南の香りを持った、泥臭さを感じさせない都会派フォークディオだった。
この曲は、荒井由実の手によるもので、先に紹介した – 「いちご白書」をもう一度 – 同様、過ぎ行く青春のはかなさがテーマなのだが、この曲では男の友情を下地に、そこに展開するお互いの気遣いを歌にしている。
夢を追い掛けた青春時代にキッパリと別れを告げ、会社員としてバリバリと仕事をこなす「君」と、未だに夢を追い掛け大人になりきれない「僕」とが、定石通りのコントラストとして登場する。
君は、未だに就職もしない僕を「うらやましい奴だな」と笑う。
僕は、違う生き方を選んだ君を認めながら、ちょっと疲れている君に「ふっ」と同情を感じてしまう。
「いちご白書」のように社会に反抗するのではなく、ちょっと前の学生時代すなわちモラトリアムの生活に懐かしさを覚えてしまう、まだ大人になれない二人の親友?。
青春をテーマにした曲には、常に葛藤が登場する。それは恋愛であったり、社会への反抗であったりする。
しかし、大人になりたくないと言う自己矛盾は始末が悪い。
人はいつか年を取って大人になる、でも大人になる意味が分からない。
ちゃんとした仕事につくって?経済的自立って一体なんだ?大人って一体何なんだ?大人になんかなりたくないな。
ホンの二十数年まえ、チャンとした大人になることそれが求められた時代があった。
それは画一的なものの見方だと叫んだり、大人の固定観念だと疑った自分がいた。
バイトをしてお金を稼いだりもした。
しかし、学生と社会人には明確な違いがあって、それは髪型だったり、言葉遣いだったりした。
いやそれ以上に誰にも頼らず、明確に自活すること、収入を得て暮らすこと、それが当たり前の時代があった。
他人に借りを作らず生活できていることを唯一の条件に、「好きなことをやっていて何が悪い」を叫べる時代があった。
反抗する対象がハッキリと存在していた時代、だからこそ、自分が主張できた時代。
それが今は・・
2003/06/14(初稿)
2021/03/02(追補)
====================================================
アマゾンでブレッド&バターを検索すると
ブレッド&バター@ウィキペディア(Wikipedia)
ブレッド&バター オフィシャル