遠距離恋愛の歌と言えば「木綿のハンカチーフ」だ。
松本隆、筒美京平の手によるこの曲がフォーソングなのかニューミュージックなのか、はたまた歌謡曲なのか、そんなことはこの際 ignore である。
以前紹介した[「マイ・ペースの東京」とはうってかわって、この曲の歌詞は実に解りやすい。
定石通りの都会と田舎のコントラスを上手く使いながら、さわやかな別れを演出してみせた。
都会にいる「僕」は地方出身者である。
学生なのか社会人なのかは分からないが、東に位置する都会へ行ったわけだ。
東は文字通り東京?大阪?「僕」の田舎はいったいどこ?
う~ん、標準語の歌詞からは想像できないが、多分、東京以西出身者と思われる。
いっぽう「私」は、都会に出て行った恋人を信じて待っている。
都会には素敵な人もいるだろうし、それ以外の誘惑も多い訳で、もしかしたらもう戻ってきてはくれないのではないか、そんな不安を抱えつつ「私」は待っている。
「恋人=僕」は、順応性の高い性格なのか、すぐに都会の生活にハマってしまう。
流行に浮かれ、都会の流行ものは田舎でも喜ばれると思い込んでしまう。
流行の指輪!?、「私」が欲しいものは違うのに・・・
歌詞に登場する「僕」はドンドンあか抜けていってる(と自分で言ってるもんなぁ)。
そして「私」に聞く。
口紅はつけないままか?
だとすると、今の「君=私」は、僕には合わない・・・
信じていた恋人はある日突然、もう田舎には戻れないと言う。
都会の魔術にハマったのか、最初からそんな軽い男だったのかは分からないが、「君」に覚めている自分に気付く。
で、とにかく、あっさり「もう帰れない」と切り出す。
すると「私」も、いともあっさり承諾し、これまでの思い出に「木綿のハンカチーフ」を下さいとおねだりするのである。
一体何のために??
おそらく同じベクトルを持って変わって行くことが恋愛の基本なんだろうけど、「都会」と「田舎」の価値感を素直に認めた二人は、この後どうなるのかまでは、歌詞は語ってくれない。
歌詞どおり解釈して、分かれてしまったと解釈するのが常套なのだろうが、「彼=僕」が自分の浮かれ具合に気づいて田舎に帰るのか、それとも本当に都会の価値観にシフトしてしまって、田舎者の「君」など要らないよと言ってしまうのか?
男の論理で組み立てた爽やかな別れ歌である。
う~ん、女性陣の考察を聞いてみたい。
「木綿のハンカチーフ」は、単なるラブソングじゃないそうです。
って、アマゾンの太田裕美白書紹介で書かれていたのですが、つい最近日経新聞の生活ページで太田裕美さんがインタビューに答えています。
「木綿のハンカチーフ」は恋人の別れの歌だが、このごろは親から独り立ちする息子や娘へのメッセージソングという解釈されるようになってきた。
私も息子たちにどんどん好きな政界に羽ばたいてほしいと願っている。
=おおた・ひろみ、49歳(日経新聞10月19日)
だそうです。
そうですか・・・ 年齢を重ねた大人の解釈ですね。
2004/10/24(追記)
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