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天王寺想い出通り 大塚まさじ

カラオケで歌うには、はばかられるような歌い出しで始まるこの曲を、僕は遂最近偶然に覚えた。

昭和フォークの懐メロサイトを始めてからというもの、あっちこっちのフォークウンチクサイトを徘徊して情報を仕入れていたのだが、そんな中、nekoh(N&P MIDI STUDIO)さんを訪問した時に初めてMIDI 演奏でこの曲を聞いた。

大塚まさじは、ディラン、ディランⅡを経てソロになり、今も現役で歌い続けている。

僕が高校生のころから彼(彼等)は歌い続けているので、もうかれこれ30年余りである。

当時は、妙にカントリーを意識したような南部なまり(?)の日本語が鼻について、「プカプカ」を歌う以外は遠慮していた。

しかし、今この「天王寺想い出通り」を聞くと、なんつーか、もぉ、そのぉ、40代後半のオヤジはたまらなくなってしまう。

細野晴臣のアレンジはとてもシンプルで、だからなお更グッときて、ただ一重にせつなくなってしまう。

それは、夢を成し遂げられなかった者、朽ちて行く者、弱い者、そんな者の痛みを知っている者たちだけが共有し合える感情なのかも知れない。

フォークソングは、アングラからしみったれた四畳半私小説を経てニューミューミュージックと呼び方を変えるのだが、アーティスト達との思いとは別の方向を追い求めるようになってしまう。

ギター一本の手作りのイベントで自己表現や社会批判の為に歌うことから、スタッフを擁護したコンサートで歌い、互いの収入を得ることが目的となって行くのである。

歌うことによるビジネスとしての成功体験を創作のエネルギーに転化(転嫁?)できる資質のある者だけが、その後のフォーク、ニューミュージックの新しい担い手となった。

そして、時すでに2003年。金儲けだけにうつつを抜かし、バブルが弾けても、未だ成功体験だけが語られ続けてる我が日本。カジノ経済の中で、勝者がいれば必ず負者がいることを皆意識しないようになってしまっている我が日本。

思い出してみろ、俺たちは「敗北」からはい上がってきた。

「全員敗北」からはい上がり復興を成し遂げて来た。

それなのに、更に求めた安住の地とは、金銀宝石で飾りたてられた宮殿だったのか。

敗れていく者達を横目で見ながら、己の私利私欲のみを成し遂げることだったのか。

そして、まだその夢を見続けようとしているのか。

情けねぇ、くそったれがぁ

2003/07/20(初稿)

2022/03/07(追補)

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