「あずさ2号」は新宿からの長野行き特急で懐メロ番組の常連「狩人」の名曲だけど、かなり似かよったイメージのこの「はつかり5号」は、上野発青森行き東北まわりの特急である。
「はつかり5号」を歌うBUZZ は、ギタアとピアノという、当時ではかなり珍しいフォークデュオである。
この「はつかり5号」は、作詞こそギタアの小出博志であるが、作曲は高橋信之、あのYMO高橋幸宏の実弟の手を借りている。
もう一人のBUZZ、ピアノ弾き東郷も当時のフォークソングと比較すれば、随分あか抜けた曲を書いているのだが、収録アルバムに数曲ほど作品を提供しているに留まっている。
ついでに言えば、バックには、スタジオミュージシャンの集まりであるサディスティックスの面々が参加していて、シンプルでありながらセンスの良いものに仕上がっていて、今でも充分に聞くに耐える。
が、歌詞に至ってはまったく持って意味不明で、どうしてこんな内容が受け入れられていたのかと思うほどである。
「君」と暮らすはずになっていた「僕」は、どうしても自分に自信が持てない、一緒になって「君」を幸せにする自信がもてない。
で、どうしようかと悩んだあげく、一人、旅に出て自分を見つめ直すのだが、なんとそこにはホームシックにかかってしまっている自分がいた。
「僕には君が必要なんだぁ~」と思ったのかどうか分からないが、そこで「僕」は、おずおずと「君」に電話を掛けるハメになってしまう。
「駅まで迎えに来ていて欲しい」うぅ~、辛い・・・。
すると「君」は、駅までどころか一駅前から乗り込んで来る。
「君」は、「僕」を見つめ、そのまなざしがすべてを語ってる・・・・。
で、サビをくり返して、この曲は終わる。
どうだい、この甘ったれ君は!?
「君」が「僕」を見つめ??
そのまなざしがすべてを語っている???
「すべて」って何????
いやはや、一部始終情けないではないか。
君を幸せにするはずの「僕」が、「心細い僕には君が必要だと分かったので、今帰る、迎え頼む」だぜ!!
ふざけるな!!と言いたくなってしまう。
俺は10代の頃、どうしてこんな曲を聞いていたんだと、我が身を疑ってしまうほどだ。
かぐや姫を「しみったれた四畳半私小説」と罵倒していたが、この「はつかり5号・君」は、とんでもないマザコン野郎だ。
バカヤロウ!!
小出博志は、一体どういう神経でこの曲を書いたんだ。
アルバムに収録されている他の曲も、全部こんな調子だ。
「置手紙」にしても、「わかれ<決別>」にしても小出はどうして、こうなんだ!!
それでもって一番最後の曲がタイトル曲の「君を迎えに来たよ」だから、とことん笑えてしまう。
それも一度別れた女にもう一度やり直そうって言う歌だ。
「子供じみたさよならは忘れて欲しい」だと!?
きっと自分の都合で分かれたんだろうぉ、はつかり5号」君。
トコトン呆れてやるぜっ!!!!
いやはや、当時の大人達が盛んにフォークソングをけなしていたが、今このBUZZ を聞くと、その理由がはっきり分かる。
ウジウジ、ジメジメ
あぁ、情けねぇ~
止めだ、止めだ、こんな文章、ヤメダ!!!!!!
2003/10/02(初稿)
2022/03/08(追補)
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後から調べてみると、はつかり5号は、作詞:藤公之介、作曲:高橋信之でした。小出博志が作ってたんじゃありませんでした。
置手紙、わかれ<決別>は、小出博志です。
その小出博志は、佐伯博志名義でシティポップのアルバムもリリースしていました。
BUZZ(バンド)@ウィキペディア(Wikipedia)