青春の影 チューリップ

チューリップと言えば財津和夫で、財津和夫と言えばチューリップと言う、いわゆるワンマンバンドでした。

ところが不幸なことに、人気に火がついたのは、サイドギターの姫野達也(これって、本名なのかぁ?)がリードボーカルを取っていた「心の旅」から。

甘いマスクが災いして、チューリップは姫野のアイドルバンドとして急成長してしまいます。

しかし、作品の殆どは財津によるオリジナルです。

ビートルズに音楽ルーツを持つと言う財津メロディは、分かりやすくて極めてシンプルです。

共感を呼ぶ歌詞、眼に浮かぶ情景、そして覚えやすいメロディ、この三つのバランスを自然なものとしている財津のセンスはおそらく天性のものなのでしょう。

財津メロディは率先して流行を取り入れておらず派手さこそありませんが、いつの時代でも古さを感じさせないし、年代を通して共感を呼びます。(って、これ、ビートルズソングの特徴だね。)

「青春の影」は、財津のピアノテクニックの未熟さがそうさせたのか、極めてシンプルな弾き語りから始まります。

メロディは自らを誇張せず、詩のもつイントネーションをそのまま伝えるように、とても自然に流れて行きます。

財津は、納得するように、そして一言一言を噛みしめるように歌いました。

「青春」とは、幼き頃の夢の続き。

一握りの者はその大きな夢を追い続けるが、多くは挫折する。

しかし、挫折した多くの者も「自らのレゾンディーテール」のため、再び、夢を探し始める。

その夢の一つが「恋愛」であって、それこそが「青春の証し」でも良いはずだ。

大きな夢であるとか、小さな夢であるとか、そんなことは大して意味のないことだ。

これは、決して妥協なんかじゃないんだ。

(おぉ、なんて動物的、即物的、生理的・・・)

なぁんて、財津自身が思ったのかどうかは知りませんが、「青春の影」でこんなにも固く誓ったのに、「サボテンの花」じゃ、あっさりお別れかよぉ~、なんて思ったもんです。

ところで、僕の大きな夢って何だったんだろ?

そう言やぁ、就職して2年目、久しぶりに会った友達に「おい、会社の将来とか、日本の未来とか言うことは他の誰かに任せて、もっと楽しく暮らしそうっぜ」、そんなことを言われたことありました。

「お前、それって爺臭くないかぁ」、間髪入れず僕はそう言いました。

もう20年以上も前の話です。

暇にまかせて、大学時代の友達の名前を片っ端からインターネットで探してみました。

適当に出身地とか、就職した会社とか、そんなものを一緒にいれて。

まぁ、殆どヒットしないんですが、中には、会社社長なんて奴がいました。

へぇ~、あいつがねぇ~、なんて思って良くみると

何っ、年商11億・・・

あいつ大工のせがれだったよなぁ~

仕事変わるとき相談にのってやったんだよなぁ~・・・・

僕の大きな夢って何だったんだろ?

いやいや、僕は大器晩成型、これからだ。

2003/11/08(初稿)

2003/11/09(二稿)

2022/03/08(追補)

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